大手銀行などが10月1日から17年ぶりに住宅ローンの変動金利を引き上げました。さらに、今後も金利上昇が見込まれます。
一体、どこまで上がるのでしょうか?また、住宅ローンで破綻しなようにするにはどうすれば良いのか?
住宅ローンの変動金利はどうなると上がるのか?
住宅ローンの変動金利が上昇する要因は、主に経済や金融政策の動向に左右されます。以下は、変動金利が上昇する主要な理由です。
中央銀行の政策金利の引き上げ
各国の中央銀行(日本では日本銀行)は、経済状況やインフレ率に応じて政策金利を調整します。政策金利が上がると、市場全体の金利水準が上昇し、これに伴って住宅ローンの変動金利も上がる可能性があります。これは、日本銀行がインフレを抑えるために金利を引き上げると、銀行が資金調達コストとして支払う金利も上昇するためです。
経済のインフレ
インフレが進行すると、中央銀行は物価の上昇を抑えるために政策金利を引き上げることがあります。これにより、銀行が設定するローンの金利も上昇します。変動金利はその時点での市場金利に応じて決まるため、インフレが高まれば金利上昇につながる可能性が高いです。
国債利回りの上昇
銀行は住宅ローンの金利を設定する際、国債の利回り(特に長期国債の利回り)も参考にします。国債の利回りが上昇すると、それに応じて変動金利も上昇する傾向があります。これは、銀行が国債利回りを指標として自らの貸出金利を調整するためです。
銀行の資金調達コストの増加
銀行が借り入れる資金のコスト(調達コスト)が上昇すれば、そのコストをローン利用者に転嫁する形で住宅ローンの金利が上昇します。金融市場全体の流動性が低下したり、銀行の信用リスクが高まった場合にも、変動金利が上昇する可能性があります。
海外の金利動向
日本国内の金利動向だけでなく、特にアメリカなどの主要国の金利動向も影響を与えます。例えば、アメリカで金利が急激に上昇すると、世界的な資金の流れに影響を与え、日本の金融機関もその影響を受けて金利を引き上げることがあります。
住宅ローン固定金利のほうが変動金利よりどのようなメリットがあるのか
住宅ローンにおける固定金利は、変動金利と比較して以下のようなメリットがあります。これらのメリットは、特に金利上昇リスクに対する安心感を重視する借り手にとって魅力的です。
金利の上昇リスクがない
固定金利では、契約時に決めた金利がローン返済期間を通じて変わりません。これにより、将来的に市場金利が上昇しても、返済額が増える心配がありません。変動金利は市場の金利に応じて変動するため、金利が上がった場合に毎月の返済額や総返済額が増えるリスクがありますが、固定金利ではそのリスクを完全に避けることができます。
返済額が一定で家計管理がしやすい
毎月の返済額が契約時に決まった金額から変わらないため、家計管理が非常にしやすくなります。変動金利だと、金利が変わるたびに返済額が変動するため、将来的な支出を予測しにくいというデメリットがありますが、固定金利なら常に同じ返済額で計画を立てられるので安心です。
例: 固定金利で月々10万円の返済が確定していれば、長期にわたって他の出費や貯蓄の計画を立てやすくなります。
安心感がある
固定金利は、市場の金利変動に対する不安を持つ必要がないため、心理的な安心感を得られます。特に長期的な返済期間がある住宅ローンでは、経済状況が大きく変動する可能性があり、その中でも安定した金利で返済を続けられることは、借り手にとって大きなメリットです。
将来のインフレや金利上昇に強い
経済が成長すると、インフレや中央銀行の政策により金利が上昇する可能性があります。固定金利型の住宅ローンを選択していれば、たとえ市場金利が大幅に上がったとしても、契約時の低金利のままで返済を続けられるため、金利上昇による追加の負担がかかりません。
長期的に見れば返済額が少なくなることもある
もし契約時に市場金利が低い時期であれば、長期間にわたってその低金利を維持できるため、結果的に変動金利よりも有利になることがあります。例えば、経済が好調になり金利が急上昇した場合でも、固定金利を選んだ借り手は低金利の恩恵を受け続けることができます。
ライフプランが安定する
固定金利は将来的な支出を予測しやすいため、ライフプラン全体を計画しやすくなります。例えば、子供の教育費や老後の資金など、将来の大きな支出を見越した資金計画を立てる際にも、住宅ローンの返済額が変わらないという点は大きな安心材料です。
固定金利のメリット
固定金利には、金利上昇のリスクを回避し、毎月の返済額を一定に保つことができるという大きなメリットがあります。これにより、家計管理がしやすく、将来の経済状況の変動による不安を軽減できる点が魅力です。特に、長期的に安定した返済を希望する方や、金利変動リスクを避けたい方には固定金利が適しています。
ただし、固定金利は通常、変動金利に比べて初期の金利がやや高く設定されることが多いため、返済期間や市場金利の動向をよく考えたうえで選ぶ必要があります。
住宅ローンで破綻しないようにするには
住宅ローンで破綻しないためには、計画的な資金管理や金利リスクへの対応が非常に重要です。以下に、破綻を防ぐための具体的な対策を紹介します。
借りすぎない(返済能力に見合った借入額)
住宅ローンを組む際、借入額は自分の収入や家計に対して無理のない範囲に抑えることが重要です。目安として、年間の返済額が年収の25%〜30%以内に収めることが推奨されます。これを超えると、生活費や予備費に余裕がなくなり、万が一の出費に対応できなくなる可能性があります。
例: 年収500万円の場合、年間返済額は125万〜150万円以内(月々10万〜12.5万円以内)に抑えるのが理想的です。
余裕のある返済プランを立てる
住宅ローンの返済期間や返済額は、収入や家族構成、将来のライフイベント(子供の教育費、老後資金など)を考慮して、余裕を持ったものにする必要があります。特に以下のポイントに注意しましょう:
長期返済計画を立てる:返済期間を長めに設定することで、月々の負担を軽減する。ただし、返済期間が長すぎると総支払額が増えるため、バランスを取ることが大事です。
ボーナス返済に頼らない:ボーナスの支給は景気や会社の業績に左右されるため、ボーナス返済を多く組み入れると返済が厳しくなるリスクがあります。
金利上昇リスクに備える
特に変動金利で住宅ローンを組む場合は、金利が将来上昇する可能性を考慮する必要があります。以下の方法でリスクに備えましょう:
固定金利を検討する:金利上昇のリスクを避けたい場合は、金利が低い時期に固定金利を選ぶことで、将来の返済額の変動を防ぐことができます。
金利が上がった場合のシミュレーションを行う:現在の金利よりも1%〜2%上昇した場合でも、無理なく返済できるかを事前にシミュレーションしておくことが大切です。
繰り上げ返済:余裕のあるときに繰り上げ返済を行い、ローンの元金を減らすことで、金利上昇時の負担を軽減できます。
手元に十分な貯蓄を持つ
予期せぬ出費や、収入が減少した際のリスクに備えて、生活費の6か月分以上の貯蓄を持っておくことが理想的です。住宅ローン返済中でも、貯蓄を維持することで、失業や病気などの緊急時に対応でき、ローン破綻のリスクを減らせます。
団体信用生命保険(団信)に加入する
住宅ローンを組む際に、借り手が万が一死亡や高度障害になった場合にローンが支払われる「団体信用生命保険(団信)」への加入は一般的です。これにより、借り手が予期せぬ事態に陥っても、家族にローン返済の負担がかからなくなります。
万が一の収入減少に備える
病気や失業などで収入が減少した場合の備えも重要です。以下のような方法を検討することでリスクに対応できます。
保険の見直し:収入保障保険や失業保険など、収入が減少した場合に備える保険を確認し、適切なものに加入しておく。
副収入を得る方法を探す:余裕があるうちに、副収入を得る手段や資産運用の方法を検討するのも一つの対策です。
ローン返済の滞納を避ける
住宅ローンの返済が遅れると、延滞利息が発生し、さらなる負担となります。もし返済が難しい状況に陥った場合は、早めに金融機関に相談し、返済プランの見直しや借り換えを検討することが重要です。
ローンの借り換えを検討する
金利が低下したタイミングで、より低い金利の商品に借り換えることで、月々の返済額を減らすことができる場合があります。ただし、借り換えには手数料や諸費用がかかるため、費用対効果を事前にしっかり確認する必要があります。
物件選びも慎重に
住宅ローンで破綻しないためには、物件選びも大きな影響を与えます。購入する物件の価格が適正であるか、自分の返済能力に見合った物件かを冷静に判断することが重要です。また、将来的に売却する可能性も考慮し、資産価値が落ちにくい立地や物件を選ぶことも重要です。
まとめ
住宅ローンで破綻しないためには、無理のない借入額を設定し、金利リスクに備えた資金計画を立てることが大切です。また、手元の貯蓄や保険、将来の収入減少への備えも欠かせません。慎重な計画と適切な対応を行うことで、リスクを最小限に抑え、安定したローン返済を続けることが可能です。