「IT業界への転職を目指しているけれど、何から始めればいいのかわからない…」そんな悩みを抱えていませんか?私も3年前は製造業の営業職でしたが、独学で勉強し、半年後にはIT企業へのキャリアチェンジを実現できました。今やIT企業の面接では、必ずと言っていいほどLinuxの知識が問われます。なぜなら、多くのWebサーバーやクラウドサービスがLinux上で動いているからです。この記事では、IT転職に向けて最低限押さえておくべきLinuxコマンドを、現役エンジニアの視点から徹底解説します。初学者でも理解できるよう、実践的な例を交えながら説明していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
なぜLinuxの知識が求められるのか
IT企業が重視するLinuxスキル
私がIT企業の面接を受けた際、必ず聞かれたのが「Linuxを触ったことはありますか?」という質問でした。これには理由があります。現在、ほとんどのWebサービスやアプリケーションがLinuxサーバー上で動いているからです。例えば、皆さんがよく利用するAmazonやGoogle、Twitterなどのサービスも、その裏側ではLinuxが活躍しています。
IT企業が新卒・未経験者に求めるのは、必ずしも高度なLinuxの知識ではありません。基本的なコマンドを理解し、実務で使えるレベルであることが重要なのです。
クラウド時代に必要不可欠な基礎知識
クラウドサービスの急速な普及により、AWSやGCP、Azureなどのクラウドプラットフォームの需要が高まっています。これらのプラットフォームの多くがLinuxベースで構築されているため、基本的なLinuxの知識がないと、クラウド環境での開発や運用に支障をきたすことになります。
実際、私も転職後すぐにAWSの案件に携わることになり、Linuxの基礎知識が大いに役立ちました。
未経験からIT転職を成功させるためのロードマップ
私の経験から、IT転職を成功させるためには以下の順序でLinuxを学ぶことをお勧めします:
- 基本的なコマンドの理解と実践
- 仮想環境でのLinux構築・操作経験
- シェルスクリプトの基礎学習
- クラウド環境でのLinux活用
特に重要なのは、実際に手を動かして練習することです。この記事では、まず押さえておくべき必須コマンドから、実務で使える便利なコマンドまで、体系的に解説していきます。
必須コマンド
ファイル操作の基本コマンド
まずは、日常的に最も使用頻度の高いファイル操作コマンドから解説します。
- ls(リスト表示)
ls # ファイル一覧を表示
ls -l # 詳細情報を表示
ls -a # 隠しファイルも含めて表示
実務では、ファイルの権限や更新日時を確認する機会が多いため、ls -lを頻繁に使用します。
- cp(コピー)
cp file1 file2 # file1をfile2としてコピー
cp -r dir1 dir2 # ディレクトリごとコピー
-rオプションは覚えておくと便利です。ディレクトリの中身ごとコピーできます。
- mv(移動・名前変更)
mv file1 file2 # file1をfile2に名前変更
mv file1 dir1/ # file1をdir1ディレクトリに移動
ファイル名の変更とファイルの移動、両方に使える便利なコマンドです。
ディレクトリ操作の基本コマンド
- pwd(現在のディレクトリ表示)
pwd # 現在のディレクトリパスを表示
最初のうちは迷子になりがちですが、このコマンドで現在地を確認できます。
- cd(ディレクトリ移動)
cd /path/to/dir # 指定ディレクトリに移動
cd .. # 一つ上のディレクトリに移動
cd ~ # ホームディレクトリに移動
私も最初は絶対パスと相対パスの違いに苦労しましたが、使っているうちに自然と理解できるようになりました。
- mkdir(ディレクトリ作成)
mkdir dir1 # ディレクトリ作成
mkdir -p dir1/dir2/dir3 # 親ディレクトリも同時に作成
-pオプションは階層構造のディレクトリを一度に作成できる便利なオプションです。
テキスト処理の基本コマンド
- cat(ファイル内容表示)
cat file1 # ファイル内容を表示
cat file1 file2 > file3 # 複数ファイルを結合して新規ファイル作成 - vim/vi(テキストエディタ)
vim file1 # ファイルを開く・編集する
最初は操作に戸惑うかもしれませんが、基本的なコマンド(i:挿入モード、:wq:保存して終了、:q!:保存せずに終了)だけでも覚えておくと便利です。
- grep(文字列検索)
grep “検索文字列” file1 # ファイル内の文字列検索
grep -r “検索文字列” dir1 # ディレクトリ内を再帰的に検索
ログファイルの調査やデバッグ時に頻繁に使用するコマンドです。
システム管理の基本コマンド
- top(システムリソース監視)
top # システムの状態をリアルタイムで表示
CPUやメモリの使用状況を確認する際に重宝します。特に、システムの重さを感じた時は真っ先に確認するコマンドです。
- df(ディスク使用量確認)
df -h # ディスク使用量を人間が読みやすい形式で表示
-hオプションを付けることで、GB、MBなど分かりやすい単位で表示されます。サーバー管理で頻繁に使用します。
- ps(プロセス確認)
ps aux # 実行中のプロセスを全て表示
ps -ef | grep apache # 特定のプロセスを検索
システムの問題解決時に、どのプロセスが動いているかを確認するために使用します。
ネットワーク関連の基本コマンド
- ping(疎通確認)
ping 8.8.8.8 # Googleのパブリックネームサーバーへの疎通確認
ping -c 4 example.com # 4回だけpingを送信
ネットワークの接続確認で最も基本的なコマンドです。サーバーやネットワークの問題切り分けに使用します。
- netstat(ネットワーク状態確認)
netstat -an # ネットワーク接続状態を表示
netstat -tulpn # TCP/UDPの待ち受けポートを表示
ポートの使用状況やネットワーク接続の確認に使用します。セキュリティチェックでも重要です。
- curl(データ転送)
curl http://example.com # Webページの内容を取得
curl -O http://example.com/file.zip # ファイルをダウンロード
APIのテストやファイルのダウンロードによく使用します。開発時には必須のコマンドです。
ユーザー管理の基本コマンド
- sudo(管理者権限実行)
sudo apt update # 管理者権限でコマンドを実行
システム設定の変更やソフトウェアのインストールなど、管理者権限が必要な操作に使用します。
- useradd(ユーザー作成)
sudo useradd -m username # ホームディレクトリ付きでユーザーを作成 - passwd(パスワード設定)
sudo passwd username # ユーザーのパスワードを設定・変更
セキュリティ上、定期的なパスワード変更が必要な場合に使用します。
便利コマンド
作業効率を上げる応用コマンド
- history(コマンド履歴表示)
history # 実行したコマンドの履歴を表示
!番号 # 履歴から特定のコマンドを再実行
私が特に重宝するのは、Ctrl+Rでコマンド履歴を検索する機能です。長いコマンドを何度も入力する手間が省けます。
- alias(コマンドの別名設定)
alias ll=’ls -la’ # ls -laを llで実行できるように設定
よく使うコマンドは別名を設定しておくと、入力の手間が大幅に削減できます。
- screen/tmux(ターミナルセッション管理)
screen # 新しいセッションを開始
tmux # 新しいセッションを開始
長時間のコマンド実行時に、接続が切れても処理を継続できる便利なツールです。
トラブルシューティングで使うコマンド
- tail -f(ログのリアルタイム監視)
tail -f /var/log/syslog # システムログをリアルタイムで表示
開発時のデバッグやシステムの監視で頻繁に使用します。-fオプションでファイルの更新をリアルタイムに確認できます。
- find(ファイル検索)
find / -name “*.log” # ルートディレクトリ以下のlogファイルを検索
find . -type f -mtime -7 # 7日以内に更新されたファイルを検索
ファイルの探索に困ったときの強力な味方です。更新日時や権限での検索も可能です。
- du(ディレクトリサイズ確認)
du -sh * # カレントディレクトリ内の各ファイル・ディレクトリサイズを表示
ディスク容量の調査時に重宝します。特に容量を圧迫している箇所の特定に便利です。
セキュリティ関連の重要コマンド
- chmod(権限変更)
chmod 755 file1 # ファイルの権限を設定
chmod -R 644 dir1 # ディレクトリ以下の権限を一括設定
セキュリティ設定の基本中の基本です。権限設定は慎重に行う必要があります。
- chown(所有者変更)
chown user:group file1 # ファイルの所有者とグループを変更
特に共同開発時のファイル共有設定で使用します。
- ssh(セキュアシェル)
ssh user@hostname # リモートサーバーに接続
ssh -i key.pem user@hostname # 秘密鍵を指定して接続
リモートサーバーへの安全な接続に必須のコマンドです。クラウド環境での作業では毎日使います。
まとめ
ここまで、IT転職に必須のLinuxコマンドを解説してきました。最後に、私の経験から3つの重要なポイントをお伝えします。
- 基本コマンドの習得から始める
ls、cd、pwd、cat、grep など、基本的なコマンドを確実に使えるようになることが第一歩です。これらのコマンドは、どのような場面でも必ず使用します。私も最初は基本コマンドの操作に集中し、それが後々の学習をスムーズにしてくれました。 - 実践的な環境で学習する
仮想環境(VirtualBoxやVMware)にLinuxをインストールして、実際に手を動かしながら学ぶことをお勧めします。私の場合、Ubuntu Serverをインストールして練習環境を作り、毎日1時間ほど操作の練習をしました。 - エラーを恐れない
コマンドを間違えることを恐れる必要はありません。むしろ、エラーが出たときの対処法を学ぶことで、より深い理解につながります。私も最初は rm -rf コマンドで必要なファイルを消してしまうなど、様々な失敗を経験しましたが、それも今となっては貴重な学びとなっています。
最後に
IT業界への転職は、確かに大きなチャレンジです。しかし、基本的なLinuxコマンドの習得は、その第一歩として最適な目標です。この記事で紹介したコマンドを一つずつ確実に身につけていけば、必ず道は開けます。
皆さんも、諦めずにチャレンジを続けてください。きっと良い結果が待っているはずです。